9月県議会一般質問②「市街地でのクマ出没への対応等について」
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一般質問2問目は「市街地でのクマ出没への対応等について」です。
最近は市街地でクマが出没する事例が相次いでおり、人に危害を加えたというニュースも報道されています。
法改正もあり、自治体のクマ対応が大きく変わる可能性があるほか、皆さんの関心も高まっているため、このタイミングで取り上げることにしました。
【Q】
本年7月、衝撃的なニュースが全国を駆け巡りました。北海道福島町で新聞配達中の男性がヒグマに襲われて死亡し、その後もごみをあさる姿が市街地などで目撃されたというものです。その後もクマが人間を襲い、死亡やけがに至ったニュースがたびたび報道されています。
実際、クマによる人への被害は2023年度、全国で過去最多の219人に上り、24年度も198人と高止まり、本県でも3人でした。人とクマの生活圏を隔てていた里山が人口減少で荒廃し、クマが人の生活圏に近づきやすくなっていることが主な要因とされます。そしてこの傾向は今後も続くとみられます。
先ほどの事例は北海道の話ですが、近年本州の市街地でもクマがあらわれる事例が相次いでいます。私の地元の萩市では、クマの目撃情報が防災メールで配信されます。ほとんどが里山での目撃情報でしたが、今年7月末と8月初旬に市街地の市営団地近くの田で目撃されるなど、市中心部に住む住民にとっても他人事とは言えない状況です。県内各地で、住宅近くや市街地での目撃情報が寄せられています。
今月、改正鳥獣保護管理法が施行され、その中で「緊急銃猟」の制度が設けられました。これにより、自治体のクマ対応は大きく変わる可能性があります。
これまでは、住宅密集地での発砲を原則禁止しており、クマが市街地にあらわれてハンターが出動しても、発砲できるのは警察官の命令を受けた場合に限られました。そのため捕獲のタイミングが遅れて被害が生じるといったケースもありました。
法改正により、①日常生活の場に侵入するかその恐れがある②人に弾丸の到達する恐れがないことなど、いくつか条件はあるものの、市町村長の責任で緊急銃猟として市街地での発砲が認められるようになりました。
しかし、本県を含む西中国地域では、国が1994年からクマ猟を禁止していることから、基本的にはクマに慣れていない地域であり、ハンターが実際にクマと対峙したという経験に乏しいといえます。市町の担当者も「実際に発砲要件に該当するような事態が生じたとしても、市町だけで発砲を判断するのは難しい」と吐露しています。
先に述べた緊急銃猟には、実際の発砲に加えてハンターの要件として①過去1年以内に2回以上射撃している②過去3年以内に緊急銃猟で使うものと同種の銃器でクマ、イノシシなどを捕獲した――などがあります。
一方、ハンターの不足、高齢化も深刻な課題です。本県における散弾銃などを扱える「第1種銃猟」免許を持つハンターは、2008年度までは2,000人を超えていましたが、2024年度は1,092人に半減。60歳以上が6割を占めています。また、クマがあらわれるケースが多い中山間地では特にその傾向が深刻であり、私の地元である萩市の旧須佐町・弥富地区のある猟友会員は「60歳代の自分が最若手で、あと10年もすればとてもじゃないが組織が持たず、荒廃が進んでしまう」と嘆かれていました。
村岡知事も本年6月の定例記者会見で、「担い手は非常に減った。国の支援が必要」と述べられるなど、国からの支援を引き出しつつ、県が主体となった抜本的な対策が必要であると考えます。
そこで、2点お尋ねします。1点目、ハンターの減少と高齢化という課題に対して、県はこれまで資格取得補助などを行ってきていますが、今後どのように取り組まれるか。2点目、クマの行動範囲が市街地に及ぶような事例が見られる中、法改正の趣旨もふまえた具体的な対応策についてどのように検討されているか、ご所見をお伺いいたします。
【A】
全国的に日々、市街地等へのクマ出没が報道されており、本県では、こうした切迫した状況にはないものの、本年度の出没・捕獲件数は、過去最高であった昨年度にも迫ることから、クマ出没に対する速やかな体制の整備が必要です。
こうした中、今月、改正鳥獣保護管理法が施行され、市町の判断による市街地等での「緊急銃猟」が可能となったことから、県では、クマ生息域外にあり対応の経験が少ない市町の状況も踏まえながら、県全体で緊急銃猟に対応できるよう支援を行っているところです。
具体的には、国が示す緊急銃猟ガイドラインにおいて、市町に対応マニュアルの作成が求められていることから、県が地域の実情に即した独自のマニュアル案を作成し、これを活用した市町向けの研修会を、今月実施したところです。
さらに、来月には、県警察や猟友会と連携して、市街地等でのクマ出没を想定した机上訓練を、県内で最も出没が多い岩国市において実施することとしており、これをモデルとして、各市町での実効性の高い体制づくりを支援していきます。
また、緊急銃猟の実施に当たり、市町が狩猟免許所持者に対応を依頼することとなりますが、免許所持者の減少、高齢化が課題となっており、新たな担い手の確保が求められています。
このため、多くの方に狩猟や免許取得に関心をもっていただくため、今年度から、商業施設での広報やSNSを活用した情報発信を行った結果、今年度の試験合格者は昨年度の188人から308人に、そのうち銃猟の合格者は48人から68人に増加するなど、一定の成果が得られたところです。
さらに、若い世代による狩猟等への関心を深めるため、農業大学校においてその魅力を伝えるための授業を行うなど、大学等と連携して周知を図っており、幅広い担い手の確保にも取り組んでいきます。
こうした取組に加え、緊急銃猟に必要となる盾やプロテクター、通信機器などの初期装備や、クマ猟が禁止されている本県の実情に即した技能研修の実施に当たり、国による財政的・技術支援が必要であるため、引き続き、政府要望等を通じて強く求めてまいります。
県としましては、今後とも、国や市町、県警察、猟友会等と緊密に連携し、県民の安全・安心の確保に向けて、緊急銃猟をはじめとしたクマ出没対策等に積極的に取り組んでまいります。