県議会一般質問④「友好都市・姉妹都市の活用と国際交流、地域外交について」
【Q】
友好・姉妹都市とは、自治体同士が正式に盟約をかわし、産業・観光・教育・スポーツなど、様々な分野で行政・民間レベルの交流を進めていくことをいいます。
山口県のホームページには、県および県内各市町の友好・姉妹都市提携の一覧が掲載されています。それによると、県は1982年中国・山東省、1987年韓国・慶尚南道、2003年スペイン・ナバラ州、2022年アメリカ・ハワイ州の4つの国・自治体。市町で言えば、例えば私の地元の萩市は韓国・蔚山広域市、ドイツ・ユーリンゲンビルゲンドルフ村、韓国・徳津面。これらをふくめて県と12市町が欧米・南米など10カ国、31の自治体と提携を結んでいます。
先に友好・姉妹都市の交流例として産業・観光・教育・スポーツをあげました。かつては単に教育・文化的な交流や相互往来がメーンだったことから、近年は企業誘致や産品の輸出入など経済の結びつきにシフトしつつあります。あるいは今後は、人口減少、少子高齢化、デジタル化、人手不足など、共通の行政課題にどのように対応するかといったノウハウの共有も重要になってくると考えます。
市町の話になりますが、先ほどあげた萩市の姉妹都市の一つであるドイツ・ユーリンゲンビルゲンドルフ村は1991年に旧旭村が結んだものを機械的に引き継いでいるだけで、市によると、合併後実質的な交流はないとのことでした。村はドイツとスイスの国境にある美しい村で、農業や酪農が盛ん、民宿やペンションが点在し、避暑地としてヨーロッパ中から人々が訪れるそうです。様々な資源が互いにあるわけで、これは市にとっても、ひいては県にとってももったいないと思うわけです。ぜひとも県には各市町と連携を取っていただき、こうした既存の友好・姉妹都市の枠組みを活用した国際交流や地域外交を強力に推進し、県全体の利益につなげていただきたいと思います。
私は今年7月、地元の萩市と関係が深い中東・ヨルダン王国を全額自費で訪問いたしました。なぜ関係が深いかというと、ヨルダン王国の首都・アンマンから車で1時間ほど走ったところにあるサルト市、かつての首都で古くより交易で栄えた街でありますが、2021年にその美しく残る町並みが評価され、世界遺産に登録されました。これに、萩市の職員である学芸員やJICAなどの機関が、観光開発や町おこしに継続的に協力をした関係があるからです。
実際に現地に行ってみますと、地元住民や市職員はこのことに深く感謝し、萩市に大変な敬意を払っており、遠く離れた中東の地で自分の故郷を誇らしく感じたところです。山口県とも萩市とも今後より関係を深めていきたいと、こういうことでありました。ヨルダン王国はまだまだ観光開発は途上で、所得水準も低い。まさにフロンティア、これから伸びる余地、可能性がある国だと感じました。日本とは地理的に離れていますし、直行便もありませんが、こうした地域へのプロモーションや関係構築も重要だと考えます。
そこで、3点お尋ねします。まず1点目はこうした既存の友好・姉妹都市という枠組みの中での県の国際交流について、現状と課題をどのように分析されているか。また、行政課題のノウハウ共有など、踏み込んだ交流が今後進められないか。2点目、市町の友好・姉妹都市交流について県として現状をどの程度把握されているか、今後市町の交流を県として後押し、また活用することが検討できないか。3点目、先ほど例にあげたヨルダン王国や中東のような新たな国・地域へのアプローチについてどのように考えられているか、ご所見をお伺いいたします。
【A】
まず、県の国際交流については、これまで、友好・姉妹提携先等と交流を積み重ねてきた結果、強固な信頼関係を築き、人的つながりや相互理解を深めてきたところです。
こうした中、これらの地域との交流関係をさらに発展させるためには、お示しの行政課題の解決やノウハウ共有など、その時々の双方のニーズを踏まえた交流内容の見直しが必要と考えています。
このため、このたび、県議会訪問団の皆様と訪問するベトナム・ビンズン省とは、10周年を迎える覚書を更新し、高齢者福祉など新たな分野の人材交流に取り組むこととしており、今後、その他の友好・姉妹提携先等においても、こうした行政課題を踏まえた交流を進めてまいります。
次に、市町の交流については、毎年、交流内容等を調査・把握するとともに、県の友好・姉妹提携先等とのネットワークを活かしながら、市町の交流を支援しているところです。
具体的には、ハワイ州との交流においては、県との姉妹提携を活かし、県人会の皆様のお力添えをいただきながら、山口市とホノルル市との友好都市提携に向けた後押しをしており、今後とも、県の持つ友好・姉妹提携先とのノウハウや人的つながりを市町へ提供するなど取組を支援してまいります。
最後に、新たな国・地域へのアプローチについては、外国要人の本県への訪問等の機会を契機として、本県との歴史的・文化的つながりや交流ニーズを的確に把握しながら、相互理解を深めていくこととしています。
こうした中、先月、中東を含む13か国の駐日大使による本県への視察が行われ、文化・産業・自然に対する高い関心が寄せられたところであり、こうした機会を活用して新たな国・地域との交流につなげてまいります。
県としては、今後とも、様々な国や地域との友好関係の一層の発展に向けた幅広い交流施策を進め、本県に活力をもたらす国際交流の推進に取り組んでまいります。