県議会一般質問②「外部活力の導入による産業振興について」
ずいぶんと更新が遅くなってしまい申し訳ございません。
取り上げた5つのテーマはどれも県政、地元萩市・阿武町の発展には欠かすことのできない重要なものです。
読んでいただけるとうれしいです。
【Q】
これまで、一般的に企業誘致と言えば大規模な工場や倉庫を誘致し、雇用を創出することを指していました。これはこれで、安定的な税収や雇用増が見込めるほか、人員の配置転換による一定数の人口増等が期待され、引き続き取り組みを進める必要があると考えます。
一方、今回私が取り上げるのは、県全体を企業が新たな商品やサービスを生み出す際の実証実験のフィールドとして活用することができないかということです。
企業からすれば、さまざまな実証実験を行い、その有用性などを確かめた上で商品やサービスを提供する必要があります。近年はドローンや自動運転、ロボットなどの新しい技術を農業や漁業などの産業、人手不足や過疎化などの特定の課題解決に結びつけて商品やサービスを生み出そうという企業の動きがますます活発になっています。
こうした流れに呼応するように、商店街の衰退や中山間地域の過疎・高齢化などの地域課題を逆手にとって、地域課題を新規事業や商品のテストマーケティングに活用してもらう動きが全国各地で少しずつではありますが出てきており、今後、自治体が積極的に企業にこうした実証実験のフィールドを提供することが、自治体にとって重要になる。もっといえば、県や市町などの自治体が今後目指すべき地域の方向性をしっかりと打ち出し、その将来像が企業のビジョンや企業の創出しようとする商品やサービスとリンクすれば、自治体にとっても域外の民間活力を効率的に取り込むことができ、有益であると考えます。
一例をあげると、群馬県では、今年度から県管理道路や河川、公園などを先端技術の実証実験のフィールドとして整備し、企業や大学の実証実験のプロジェクトを誘致、その際に補助金を交付する事業を始めました。都心部では土地的な制約が大きいことなどから、国内外の多くの企業が関心を寄せているということです。本県も各地に県管理道路をはじめ河川、公園、各種施設を有しており、遊休施設を含めこうした資産を活用していく観点からも、これら実証実験を積極的に誘致していくことは重要であると考えます。その際には合わせて、定着企業数や実証実験を行った企業の地域への経済波及効果を数値として可視化することも必要です。
そこで、お尋ねします。既存の企業誘致に加え、こうした企業の実証実験の誘致に向けた県の基本的な考え方についてのご所見をお伺いいたします。
【A(知事答弁)】
人口減少や少子高齢化の進展等により、経済の縮小が懸念される中、本県経済の活性化や雇用の拡大を図っていくためには、外部からの活力を積極的に取り込み、地域産業を活性化していくことが重要であると考えています。
このため、雇用創出をはじめ多面的な効果をもたらす企業誘致に向けては、私自らが先頭に立って、優れた立地環境や優遇制度を活かした誘致活動を展開する中、本年は、半導体関連の大型投資の実現等により設備投資額が2年連続で過去最高となるなど、高い成果につながっています。
また、実証事業の誘致については、艦艇装備研究所、JAXA等の研究関連施設や、やまぐちヘルスラボ等のオープンイノベーション拠点など、本県の有する優れた機能や環境を生かして、県内企業はもとより、外部の活力も活用しながら、事業化に向けたプロジェクトを支援しています。
具体的には、お示しの実証事業に加え、水中モビリティが撮影したインフラ等の画像データを3Dモデル化するセンシング技術や、衛星データを利用して藻場によるCO2の吸収量を算出する手法の開発など、県内外の企業や大学等による先進的な取組が進んでいます。
また、「やまぐちヘルスラボ」においては、2,600名を超える会員数や実証事業へのきめ細かなサポート体制が、県外の大手企業からも高い評価を得ており、エビデンスに基づくヘルスケア商品の開発に向けた実証フィールドとして、県内企業等とのマッチングも積極的に推進しています。
さらに、スタートアップでは、首都圏からの移住者が、県のアクセラレーションプログラムを受講し、専門家によるビジネスモデルの確立や資金調達に関する支援を受けることで、クラウドを活用した企業の業務効率化を図る事業を立ち上げ、受注実績を積まれるなどの成果も出てきています。
こうした取組をしっかりと外部にアピールしながら、本県が持つ優れた機能や環境を活用した実証事業等の取組を一層推進し、事業化につなげていくことにより、地域産業の活性化を図ってまいります。
私は、産業力のさらなる強化につながるよう、本県の有する資源を有効に活用しながら、外部活力の導入による産業振興に積極的に取り組んでまいります。