2月議会一般質問⑤「へき地における医療提供体制の確保」について
9月議会で行った質問に関連して、質問しました。
言いっぱなしにするのではなく、継続して質問したり、他の県や市町で同様の質問をしたりすることにより、行政の動きを促していきたいと考えています。
【Q】
へき地における医療提供体制の確保についてお尋ねいたします。私は9月定例会でへき地医療を支える総合診療医の育成について質問させていただきましたが、今回は来年度予算案に盛り込まれた新たな施策を含め、今後の取り組みについてお尋ねしたいと思います。
本県の10万人あたりの医師数は2020年時点で全国中位ですが、医師の平均年齢は53・3歳と全国で最も高い状況です。中でも私の地元の萩市、阿武町、長門市による山陰地方は特に医師不足と医師の高齢化が深刻で、各市町単位の努力では確保が難しく、市町や医療圏をこえた県の総合調整機能を必要としています。4月からは医師の時間外・休日労働時間の上限規制も始まり、労務環境の改善に努めつつ、人材を確保する喫緊の必要性にも迫られています。
へき地は「山村振興法」「離島振興法」などの法律が適用される地域で、本県面積の約6割を占め、人口でも17%、23万人が暮らしています。へき地の人口は、2015年から2020年までの5年間で、過疎地域の拡大に伴い、2割以上増加しています。拠点病院や中心市街地から離れ、交通の便が悪いことから医師確保において不利益が生じています。
こうした状況を改善するため、県においては一定期間指定された病院で勤務すれば返済が免除される「山口県医師修学資金」の活用や山口大学医学部における地域枠の設置と増員といった取り組みを進めてこられました。
医療機関同士の協力では、例えば山口市と萩市の市境にある萩市佐々並地区には山口市の協力医療機関から週3日、医師が派遣されています。このほか、県内7の公立診療所等に6の協力医療機関から支援が行われていますが、隔週1日という場合もあり、さらに協力体制を強化する必要があります。
新型コロナウイルス感染症の拡大で、デジタル機器を活用して、医師が現地に不在の場合にオンライン診療を行ったり、診療所の医師に対して専門医がオンラインで支援を行ったりするニーズも拡大しています。
また、あらゆる分野で後継者不足が叫ばれていますが、医業も例外ではありません。実際、私の地元の同級生で医師になった開業医のご子息がおりますが、東京で全く違う診療科に勤務し、帰郷の意思はありません。先生が辞められれば、医療の空白が生じます。
へき地で勤務すれば、先進的な症例にあたる機会が限られ、研究活動などにも支障が生じる恐れがあり、二の足を踏む一因ともなっています。
そこで、お尋ねいたします。医療資源が限られるへき地においては、県民の命と健康を守るために持続可能な医療提供体制をいかにして確保していくかが重要です。県では来年度予算案に盛り込んだ新たな施策を含めて、これにどのように取り組まれるか、ご所見をお伺いいたします。
【A】
県民誰もが生涯を通じて住みなれた地域において、健康で安心して暮らしていくためには、医療資源の限られたへき地においても、必要な医療が、継続的に提供できる体制を確保することが重要です。
このため、県では、へき地勤務を償還免除要件とする医師修学資金により、医師の確保・育成を行うとともに、診療所の医療設備や運営費への支援を通じ、へき地における医療提供体制の整備に取り組んできたところです。
また、限られた医療資源の中で、効率的に医療が提供できるよう、へき地医療拠点病院に医師を集約し配置した上で、複数のへき地診療所に派遣するなど、必要な体制を構築しています。
加えて、オンライン診療は、医師が対面で診療する機会が限られるへき地において有用であることから、市町や医療機関に対し、その有効性を周知するとともに、高額な通信機器等について、導入支援を行っています。
しかしながら、お示しのとおり、へき地においては、診療所の承継者確保や、医師のスキル向上の機会の確保など、さまざまな課題を抱えているところです。
このため、承継者確保については、税理士等の専門家による相談対応やセミナーの開催により、承継希望者を支援していますが、来年度新たに、民間診療所等を承継する際に必要となる施設改修費や設備整備費等に対する補助制度を創設し、へき地における医療提供体制を維持してまいります。
また、へき地に勤務する医師のスキル向上の機会の確保については、知識や技術を習得しながら勤務が行えるよう、研修を受ける際に、へき地医療拠点病院から診療所への代診医派遣を行うほか、研修費等を支援します。
県としましては、今後とも、市町をはじめとする関係機関や医療機関等と連携し、良質で持続可能なへき地医療提供体制の確保に、積極的に取り組んでまいります。