2月議会一般質問③「ライドシェアの普及・拡大」について

3点目はライドシェアの普及・拡大についてです。

ライドシェア解禁は全国的に進んでおり、様々な課題解決が期待される一方、懸念もあります。県としての考え方を問いました。

【Q】

ライドシェア等の普及・拡大についてお尋ねをいたします。

ライドシェアは、一般のドライバーが自家用車を使って有料で人を運ぶサービスを言います。日本ではいわゆる白タク行為として法律で規制されてきましたが、今後法改正の動きが加速すると予想されます。最近では、輸送業における慢性的な人手不足や高齢化、バス路線の廃止、独り暮らしの高齢者の増加などにより、とくに過疎地域や中山間地域では、移動手段の確保が難しく、近年は高齢者の免許返納を促す動きも強まっています。いずれ完全自動運転技術が確立されれば、こうした課題も相当程度解決される時代が到来するでしょうが、その過渡期にあって、本県においても代替移動手段の確保は必須かつ喫緊の課題といえます。

さらに、山口市がアメリカの有力紙「ニューヨークタイムズ」が発表した2024年にいくべき52カ所で、世界各地の旅先の中で3番目に取り上げられました。今後はさらに増加すると見込まれるインバウンド需要への対応としても期待されます。最近話題になっている中学校の部活動地域移行において、旧町村や中山間地域に住む子供たちの移動手段の確保にも資するかもしれません。私の地元の萩市は観光地ではありますが、タクシーの台数は激減し、日曜や夜間はめっきり見かけることも減りました。「観光地なのになんたることか」と市内外の方々からおしかりを受けることもままあるのが現状です。

村岡知事におかれては、昨年11月8日の定例記者会見で、ライドシェアについて「基本的には検討を進めるべき」との認識を示されたうえで、「いろんな移動の仕方、多様な選択肢があるというのが目指すべき方向だろうと思う」と述べられました。

政府では、4月から、タクシー会社が運行管理するという条件付きで、一部地域で時間帯を限って認める方向です。タクシー会社以外の事業者が参入できるかどうかは、今後検討するとされています。一方、タクシー業界や公共交通を担う業界団体などから懸念の声も出ており、海外の事例も参考にしつつメリットとデメリットをきちんと整理する必要があります。

また、すでに一部地域では自治体やNPО法人が運営主体となって、一般のドライバーが送迎する、自家用有償旅客運送のサービスが展開されています。この制度については、今後、自治体をまたいだ運行などについて、各首長の判断でかなり柔軟に運用できるようになります。地域によってこうしたサービスの必要度合いは異なりますが、自治体によって取り組み状況に大きな差異が出ないよう、県として自治体間の調整や指導に力を発揮していただきたいと思います。

そこで、お尋ねします。安全性の担保や民業圧迫との懸念に配慮をしつつ、自家用有償旅客運送を含めたライドシェア等の普及・拡大について、県として今後どのように取り組まれるのか、ライドシェア等が解決しうる本県が抱える諸課題にも触れつつご所見をお聞かせください。

 

【A】

地域交通を取り巻く環境が厳しさを増す中、本県においても、運転士不足等によるバスの減便やタクシー不足などが進行し、地域における移動手段の確保が喫緊の課題となっています。

こうした中、国では、運転士不足の深刻化や急増するインバウンド観光等の移動需要に対応するため、タクシー事業者の運行管理の下で、地域の自家用車やドライバーを活用するライドシェアを、本年4月から、タクシーが不足する地域や時間帯等において導入する方向で検討が行われています。

また、中山間地域などの交通空白地において、市町やNPO法人等が行う自家用有償旅客運送については、昨年12月、交通サービスが限られる時間帯が生じる地域も対象とすることが示されるとともに、市町をまたぐ運行区域の設定などを促す見直しも進められているところです。

本県において、こうしたライドシェア等の導入を、安全性の確保や民業圧迫にも配慮しながら進めていくためには、国や市町との連携はもとより、タクシーやバスなどの交通事業者の協力が不可欠です。

このため、各市町の地域公共交通会議や、来年度新たに設置する運転士確保に向けた協議会を活用して、制度内容や先進事例を共有しながら、市町や交通事業者など、関係者間の相互理解を図っていきます。

その上で、関係者による協力体制の下、タクシー事業者によるライドシェアや、市町等が主体となる自家用有償旅客運送の導入・拡充など、地域の実情に応じた検討が進むよう、必要な助言や調整を行ってまいります。

県としては、今後とも、国の動向を踏まえながら、市町や交通事業者等と連携し、ライドシェア等の新たな仕組みも活用して、地域住民や観光客の移動手段の確保が図られるよう、積極的に取り組んでまいります。