2月議会一般質問②「主権者教育」について

自身の経験も踏まえて、主権者教育について質問し、県教育委員会教育長に答弁いただきました。

 

【Q】

関連して、こと若い世代に焦点を絞り、主権者教育についてお尋ねします。

2016年に選挙権年齢が満18歳以上に引き下げられ、8年が経ちました。この間の本県における18,19歳の投票率は21年衆院選で29・91%、22年参院選で28・91%と、全国的に同じ傾向ではありますが、全体より低くなっており、主権者教育が急務であると考えます。

我が国では、今から約130年余前の1890年(明治23年)に日本で初めての選挙として衆議院議員総選挙が実施されました。この時、選挙権を得たのは満25歳以上、直接国税15円以上を収めている男性のみであり、全人口のわずか1パーセント程度でした。その後、満25歳以上の男性全て、戦後には20歳以上の男女と範囲が拡大されてきました。戦後初の普通選挙が実施された際に、投票のために長蛇の列ができている様子の写真が、社会科の教科書に掲載されていたことを記憶されている方もいらっしゃるかもしれません。そのくらい、選挙権というのは市井の人々が獲得を熱望し、そのための運動を展開してきたという歴史があるわけです。

私が中学、高校生だった当時、学校ではそういった運動の詳細について教わった記憶はほとんどなく、試験で直接国税(かっこ)円以上を納める(かっこ)歳以上の男子と単に答えさせるなど、いわゆる暗記学習に終始していたと思います。

先人たちの努力の上に、現在の選挙制度が確立されていることを子どもたちがよく理解すれば、政治への関心や投票行動にも幾分かは変化があるはずです。主権者教育の難しさとして、教育と政治との距離という指摘がよくなされます。当然、特定の政党や政治家を教員が支持するような教育は容認できませんが、子どもたちが歴史的背景等を踏まえながら、現実に即し、実践的に学べるよう、創意工夫の上、学習を進めていくことは必要であると思います。

また、より良い主権者教育を行うためには教室の中だけにとどまる必要はないと考えます。昨年11月に、東京で開かれた総務省主催のシンポジウムでは、「主権者教育」が取り上げられ、都道府県の境や党派をこえて危機感や対応の難しさが共有されましたが、その中で興味深い取り組みを目にしました。

群馬県議会では高校等を訪問する「GACH i高校生×(かける)県議会議員~政治を知らなきゃソンをする」を実施しています。GACHiは真っ向勝負を意味するガチンコを略した言葉です。県議会議員と高校生が本音で語り合う内容のイベントで、若い世代の関心をひくため、ネーミングから腐心したということでした。本県においても、この議場で高校生県議会を開会するなど、県と県議会が協力して継続的な取り組みをしているところですが、こうした座学だけでない、より多くの生徒の興味関心をひくような取り組みを検討していくことも求められていると考えます。

そこで、お尋ねします。若い世代の投票率向上が求められる中、高校における主権者教育の取り組みの現状と、今後の取り組みについて、県教委のご所見をお聞かせください。

【A】

県民の政治参加についてのお尋ねのうち、主権者教育についてお答えします。

選挙権年齢や成年年齢が18歳以上となる中、国や社会の問題を自分の問題として捉え、自ら考え判断し、行動していく若者の育成に向け、主権者教育を推進していくことは重要であると考えています。

このため、各高等学校等においては、例えば、科目「歴史総合」や「公共」の授業で、選挙権拡大などの歴史と関連付けながら、政治や選挙に関する基礎的な知識・概念を習得するとともに、ボランティア活動やインターンシップなどを通じて、社会参画への意識を醸成したり、他者との対話や議論により、考えを深めていく学びを通じて、自分で考え、判断する力を育成したりしているところです。

また、選挙管理委員会が実施する出前授業の活用や、県議会が実施する議会見学及び模擬議会への参加などにより、実際の投票行動を促す取組も行っています。

お示しの「やまぐち高校生県議会」においては、次代を担う県内の高校生が、さまざまな視点で捉えた山口県の課題を、調査やグループ協議を経て提言や質問にまとめ、実際に議員として議場に立ち、質問するという体験をすることにより、県議会の役割や県行政への理解を深め、関心を高めています。

一方で、十代の投票率は、依然として低い状況にあることから、身近な問題を自分たちの力で解決したと実感できる経験を積み重ねることにより、政治や選挙に対する生徒の意識や関心を一層高める必要があると考えています。

今後は、引き続き、これまでの取組の更なる充実に努めるとともに、地域や学校の課題についての学校運営協議会における熟議や、まちづくりについての市町職員との意見交換や政策提言など、身近な課題に自分ごととして向き合いながら、仲間と力を合わせて解決策を考えていく学習にもしっかり取り組んでまいります。

県教委といたしましては、自ら考え判断し、行動できる高い資質をもった主権者の育成に向け、家庭、地域及び関係機関と連携しながら、高等学校等における主権者教育を「積極的に」、「効果的に」、そして「公正に」推進してまいります。