2月議会一般質問①「投票率の向上について」
今日から全6回にわけて、2月議会での一般質問と回答の全文を掲載していきます。
1回目は投票率の向上についてです。
【Q】
人口減少などの諸課題と同じく、本県に限ったことではありませんが、各種選挙における投票率は低下の一途をたどっています。
昨年の県議会議員選挙では、県全体の投票率は39.75%で、前回選の44.03%から4.28ポイント減となっています。国政選挙においては、2021年秋の衆院選は小選挙区が49.67%で、その前の2017年の55.23%から5.56ポイント減となっています。選挙区情勢や天候など様々な要因はあるにせよ、前回選で投票率が50%を割ったのは47都道府県で山口県のみで、全国最低でした。
先日、新聞記事で注目すべき取り組みが目を引きました。茨城県つくば市は1月、電気通信事業大手「KDDI」などと連携して、有権者が事前予約した日時に投票箱を載せた車両が自宅の前まで来て投票ができる「オンデマンド型移動期日前投票所」を使った模擬投票の実証実験を行いました。今年秋に予定されている市長選と市議選で実用化を目指し、予算措置もされているということです。移動が難しい高齢者や、障がいを持つ方でも簡単に投票ができ、駐車スペースの関係で自宅前に移動投票車が止められない場合は、近くの駐車場や公共施設などへの送迎サービスも併せて提供します。また、立会人2人のうち1人はロボットの遠隔操作で担うことで、公正を担保しつつ人手不足の克服も図る取り組みです。実際、利用者からは「予約も簡単で家族に負担をかけなくてすむ」「高齢化が進むなか、必要な制度だ」など、おおむね好評だったということです。
このほか、今後国との調整が必要ではありますが、鳥取県が全国で初めて投票所の立会人の役割を遠隔地から担えるようにする「オンライン立ち会い」の導入を検討すると表明しました。人手不足を解消し、投票所の減少を食い止めることは投票率の向上に資する取り組みと言えます。
本県においては、村岡知事を先頭にデジタル化、DX化に率先して取り組んでおられると承知をしています。選挙は民主主義の根幹をなすものであり、投票率を向上させることが県政への関心を高めることにつながるのは疑いようがありません。こうした新しい技術や規制改革特区の制度を活用していくことも重要ではないかと考えます。
そこで、お尋ねします。県内の各種選挙における投票率の現状をどのようにとらえ、また、先ほどご紹介した新たな取組なども踏まえ、投票率向上に向けて、今後どのように取り組まれるか、ご所見をお聞かせください。
【A】
県民の政治参加についての御質問のうち、投票率の向上についてのお尋ねにお答えします。
お示しのとおり、本県の投票率が低下傾向にあり、特に、前回の衆議院議員総選挙における投票率が全国で最も低い水準となったことは、民主主義の健全な発展の観点から、憂慮すべきことであると認識をしています。
こうした状況の中、投票率の向上に向けて、有権者の方の投票しやすい環境の確保や整備、効果的な啓発活動に取り組んでいくことが重要であると考えています。
まず、投票環境の確保・整備については、投票所の設置は、公職選挙法に基づき市町村の選挙管理委員会が行うこととされていますが、県選管としても、市町選管に対して、投票環境の向上に積極的に取り組むよう働きかけてきたところです。
こうした中、市町選管においては、投票所への移動が困難な高齢者などに対する巡回バス等による移動支援をはじめ、移動期日前投票所の設置や、商業施設・大学等での期日前投票など、地域の実情に応じた取組が進みつつあります。
県選管としては、今後も、市町選管に対し、有権者の投票環境の確保・整備への検討に資するよう、お示しの事例等も踏まえ、様々な機会を捉えて先進事例の紹介や助言等を行っていきたいと考えています。
また、オンライン等による投票の立ち会いについては、現時点では、制度上、想定されていませんが、投票所の維持・確保の観点から一つの有効な取組と考えられ、今後の動向を注視してまいります。
次に選挙の啓発活動についてですが、投票率低下の背景の一つとして、若年層を中心とした政治的無関心や選挙離れ等が指摘されています。
このため、県選管としては、若年層に重点を置いた啓発に一層力を入れて取り組む必要があると考えています。
まず、選挙のない平常時の啓発として、高校生等を対象に実施してきた出前授業について、学校等と連携を一層密にし、その充実に積極的に取り組んでまいります。
また、選挙時の啓発については、SNSやインターネット広告等を活用した情報発信に取り組んでおり、ネット広告では、デジタル技術を活用し、閲覧する側の年代に応じて表示内容を切り替えて発信するなどの取組を行ってきたところです。
今後も、こうした新しい技術などを活用しながら投票を呼びかけてまいります。
投票率の現状は、厳しい状況が続いており、決め手はなかなかありませんが、不断の検討を重ね、一人でも多くの有権者の方が投票に参加されるよう、投票しやすい環境づくりと啓発活動にしっかりと取り組んでまいります。