一般質問詳報③孤独・孤立対策
おはようございます☀
今日は一般質問の3つ目として取り上げた「孤独・孤立対策」についてお伝えします。
これまではあまり聞きなれない言葉、概念だったかと思いますが、最近はメディアなどで取り上げられることも増え、なんとなく聞き覚えのある方もおられるのではないかと思います。
私がこの言葉に初めて触れたのは2020年末、当時首相官邸で菅首相の総理番キャップをしていた時、孤独・孤立に関する有識者会議がたちあげられ、その第1回目を取材したことにさかのぼります。
当時22歳、えらい若い人が有識者に入っているなと思ってみてみると、面識こそなかったものの大学の後輩で、NPO法人「あなたのいばしょ」をたちあげた大空幸星さんでした。彼は慶応大学の後輩で、在学中にNPОをたちあげ、いちはやく孤独・孤立対策の必要性を世の中に訴えかけていた人物です。
彼との交流もあり、孤独・孤立の問題に関心を寄せるようになり、具体的にはこれまで国のほうで取り組みが行われてきたわけですが、来年度からは地方においても取り組みを求められることになるということで、そのタイミングで質問をさせていただきました。
個人的にはもう少し踏み込んだ具体策がほしかったところですが、これからの県の動きに期待したいと思います。
以下、質問と回答の全文です。
【笹村質問】
3点目、孤独・孤立対策についてです。孤独・孤立対策に取り組んださきがけはイギリスで「孤独は現代の公衆衛生上、最も大きな課題の一つ」として、2018年に世界で初めて担当大臣を設置しました。日本でも2020年ごろからメディアなどで取り扱われることが増え、2021年に世界で2番目に担当大臣を設置し、先の通常国会では、「孤独・孤立対策推進法」が成立するなど、社会的な要請もあって注目が高まっています。
政府においては8月1日の閣議で、今年版の厚労白書を示し、「新型コロナウイルスの流行や単身世帯の増加に伴い、孤独・孤立問題への対応が必要」と指摘しています。
2020年と1990年を比較すると、単身世帯が占める割合は全国で約115%、本県でも85%増加しています。地方においても地域社会では形式的な人付き合いを望む人が増え、新型コロナの感染拡大によって人間関係が希薄化したことも孤独・孤立問題の深刻化に拍車をかけたとの指摘があります。
さらに、家族の介護を子供が担う「ヤングケアラー」や、高齢の親が引きこもりになった中年の子供の面倒を見る「8050」問題など、複数の分野にまたがる課題も表面化しています。
孤独・孤立という概念は比較的新しい概念であり、制度のはざまで支援が行き届きにくい人も数多く存在します。
政府は白書のなかで、具体的な取り組みとして①本人からの申請を待たない能動的な支援②デジタル技術を活用したオンラインでの相談体制の充実③世代や属性を問わず人々が集える居場所づくり――の必要性を強調しています。
県は、やまぐち未来維新プランの中で、困難を有する子どもへの支援の項目として「子供の貧困やヤングケアラーなど、様々な家庭の状況を的確に把握し、支援を実施」することについて、「挑戦」と位置付けています。
孤独・孤立対策は新法成立もあって、政府が来年度、孤独・孤立対策に取り組む自治体への交付金を新設する方針を示すなど、国をあげての対応が加速しています。孤独・孤立対策を進めるにあたっては、公の役割が重要であることは言うまでもありませんが、NPО法人など民間団体や関係機関等と連携した支援体制の構築が重要であると考えます。こうした主体と連携しつつ、県として孤独・孤立対策をどのように進めていくか、ご認識をお聞かせください。
【國吉健康福祉部長答弁】
孤独・孤立対策についてのお尋ねにお答えします。
少子高齢化の進行や家族形態の変化、個人の価値観の多様化に加え、新型コロナウイルス感染症の影響による住民同士の接触機会の減少等に伴い、地域におけるつながりが希薄化し、支え合い機能の低下が進行しています。
このような状況を背景として、福祉的課題やニーズが複雑化・複合化する中、社会的な孤独・孤立等の新たな課題が顕在化しており、誰もが地域で安心して暮らし続けられるよう、こうした課題に的確に対応していく必要があります。
このため、県では、このたび素案をとりまとめた山口県地域福祉支援計画において、新たに、地域における居場所づくりの促進や、住民からの相談を包括的に受け止め、多くの機関が協働して支援を行う体制整備の促進を盛り込み、地域のつながりや支え合い機能の強化に取り組むこととしています。
具体的には、こども食堂等の世代や属性を超えて住民同士が交流できる多様な居場所の整備促進をはじめ、様々な支援機関の協働による、内容を問わない相談対応や、個別訪問等のアウトリーチを含む伴走支援、地域社会への参加支援等を一体的に行う、重層的な支援体制を構築してまいります。
こうした取組にあたっては、行政機関だけではなく、福祉関係団体やNPO法人、ボランティア等との連携が重要であることから、市町や関係機関等の職員に対して、連携体制構築に係る研修を実施するとともに、先進事例の情報提供等を行ってまいります。
県としましては、孤独・孤立で悩んでいる方々が支援を求める声をあげやすい、人と人とのつながりを実感できる地域共生社会の実現に向けて、多様な機関と連携しながら取り組んでまいります。