県議会一般質問詳報②~クルーズ船の誘致~

おはようございます☀

一般質問の2つ目で取り上げた、「国際クルーズ船の誘致による外国人観光客の誘客」についてお伝えします。

今年4月にコロナ後、県内に初めてやってきたクルーズ船が寄港したのは、萩港でした。

クルーズ船の誘致は、海外との定期航空便を持たない本県にとっては、着目するべき視点だと思います。ただ、クルーズ船を誘致するだけでは観光消費にはつながりません。はっきり言えば、100円しか使わない外国人観光客が1万人来るよりは、1人で1000万円使ってくれる外国人観光客が1人来てくれたほうが、よっぽど経済効果は高いのです。

 

県としてどのようにターゲティングをして、どう富裕層を含めた外国人観光客のニーズをとらえながら誘客を進めていくのかについて、質問しました。

▼以下、全文

【笹村質問】

2点目に、国際クルーズ船の誘致による外国人観光客の誘客についてお尋ねいたします。

3年半にわたる新型コロナウイルス禍による空白を経て、様々な社会経済活動がコロナ禍前の様相を取り戻しつつあります。

本県では、4月18日に私の地元萩港にコロナ後初めて国際クルーズ船が寄港したことを皮切りに、これまで県内への寄港は回を数え、順調な再スタートとなっています。

現在の市場は、中国市場の立ち上がりの遅れもあって、世界の中でも再開が早かった欧米市場が中心となっており、本県へ寄港した船の多くは欧米系の外国人観光客を乗せているという点で、コロナ禍前と大きく異なっています。

特に欧米市場のニーズは、日本らしい、その地域の文化や自然を体験することに重点が置かれており、萩港に寄港した際にも、江戸時代の街並みが残る城下町での散策や萩焼施設の見学といった地域の歴史や文化を感じられるコンテンツが好評でした。

また、下関では自転車を運び入れて関門海峡沿いや城下町長府でのサイクリングを楽しんだとの報道も耳にしており、多様化するクルーズ客のニーズに応え、こうした機会を逃すことなく、欧米市場も安定的に取り入れるようにもしていかなければなりません。

地域の自然の中で楽しむ体験型アクティビティや、風光明媚な景観の中で行われるスポーツイベント、さらには地元で長年続く伝統行事なども、こうしたニーズに合わせて磨き上げていくことで、誘客につながると考えます。

とりわけ宿泊を伴わないクルーズ需要においては、こうしたニーズを地域における観光消費額の増加に繋げていくという視点が欠かせず、県には、地域の特色を生かし、地域の潤いにつながるコンテンツの開発など、地域の取り組みをしっかり後押ししていただきたいと思うのです。

また、先月18日からは中国から日本への団体旅行も解禁されており、今後の中国市場の立ち上がりにも対応し、こうした新たな需要の取り込みにも先手を打つ必要があります。24日には、大型クルーズ船に対応するために整備を進めてきた下関市新港地区「長州出島」に、県内に寄港するクルーズ船としては過去最大の「MSCベリッシマ」を迎えることができたところであり、こうした機能も十分に生かして需要を取り込んでいかなければなりません。

そのためには、市場動向を踏まえて、大型から小型、ラグジュアリーからカジュアルまで、市場ごとのニーズの収集や分析を行い、乗客の特性に合わせたプランを提案するなど、船会社への積極的なプロモーションを行い、本県へ寄港する商品の造成へと繋げていただきたいのです。

県は、県政運営の指針である「やまぐち未来維新プラン」のなかで、クルーズ船の寄港数の目標を2022~26年で年平均50回以上としていますが、国際クルーズ船の寄港数を増やし、観光消費額を増やしていくために、今後誘致にどのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。

 

【京牟礼観光・スポーツ・文化部長答弁】

国際クルーズ船の誘致による外国人観光客の誘客についてのお尋ねにお答えします。

クルーズ船の寄港は、乗船客の周遊観光等を通じて、交流人口の拡大や地域経済への波及効果が期待できることから、県では、これまで、クルーズやまぐち協議会を中心に、積極的な誘致活動を実施してきたところです。

この結果、今年から国際クルーズ船の寄港が再開される中で、本県においても、4月の萩港を皮切りに、現時点で、年間20回の寄港が予定されています。

今後、クルーズ船の運航は世界的に拡大が見込まれており、こうした需要を確実に本県に取り込むため、県としては、お示しの大型船の寄港も可能な長州出島をはじめ、多くの良港や多彩な観光資源を活かして、誘致活動の強化と観光消費額の拡大につなげる取組を進めてまいります。

まず、誘致活動の強化については、寄港の決定権を持つキーパーソンを本県に招聘する視察ツアーを実施するとともに、

専門アドバイザー等を活用し、市場ごとのニーズ分析を踏まえた現地セールスを行うなど、それぞれの港の特色を活かし、戦略的な誘致活動を展開していくこととしています。

特に、今年度は、日本への寄港に強い関心のある欧米市場の新規開拓を図るため、欧米の船会社に対してオンライン商談会を開催するほか、今後、需要の高まりが期待される中国市場に向けても、乗客の特性に合わせたプランを船会社等に提案するなど、誘致活動を強化していきます。

次に、観光消費額の拡大に向けては、乗船客による県内周遊の一層の促進を図ることが重要であり、本県の強みである豊かな自然や文化、グルメ等を活かした体験コンテンツの開発や磨き上げの支援を行うほか、魅力的な周遊ルートを設定し、船会社等に対し商品化を働きかけてまいります。

また、船会社等に対し、船内レストランでの県産食材の使用などを積極的に働きかけるとともに、地元市町と連携した埠頭での特産品販売や、免税店、道の駅等の商業施設への送客などにより、県内消費の拡大につなげていきます。

県としては、今後とも、市町や関係団体等と緊密に連携しながら、優れた港湾施設や魅力的な観光資源を活かした、国際クルーズ船の誘致に積極的に取り組んでまいります。