一般質問詳報④~へき地医療を支える総合診療医の育成~

出張に行っており、1週間更新が滞っており申し訳ありません。

 

一般質問の4つ目に取り上げたのは、「へき地医療を支える総合診療医の育成」についてです。

要は、医師不足とへき地の医療をしっかりと確保していくには、何科、何科といった特定の診療科に偏るのではなく、あらゆる疾患、世代、性別に対応できるような治療技術、その他の能力を備えた石を育成していく必要があるのではないかという話です。

 

 

【笹村質問】

へき地医療と総合診療医の育成についてお尋ねをいたします。

総合診療医とは、2021年秋に誕生した専門医で、従来の専門科のように特定の疾患や臓器に限定するのではなく、地域に住むあらゆる年齢、性別の患者の健康問題に向き合い、幅広い視野に立って治療を行う医師のことをいいます。慢性疾患を抱えながら一生を終える人が6割ともいわれ、在宅医療等、医療に対するニーズも多様化する中、ひとつの臓器にとどまらず、それぞれが影響する関係や原因を推論できる高い診断力と、ほかの診療科との連携を見極める力に対する社会的な要請が高まっていることによります。

本県の「第7次保健医療計画」では、「過疎地域発展特別措置法」「離島振興法」「山村振興法」の3つの法律が適用される地域をへき地と位置づけています。へき地は本県の面積の約6割を占め、人口ベースでも県人口の約14%、18万人が住んでいます。

へき地の医療機関は交通の便が悪く、各診療科の専門医が十分にそろっているとはいえません。へき地の中でもこと離島に関して申し上げれば、県内に21ある有人離島では常勤医から非常勤医に置き換わった島が過去10年で4島あります。萩市沖の離島・相島は人口がピーク時の500人から3月末時点で109人となり、医師はおろか常勤の看護師すらいない状況です。このように、当面へき地を中心に本県の人口減少と高齢化は避けられない見通しの中、幅広い領域をカバーできる総合診療医の存在意義は高まると考えます。

さらに、本県においては医師の診療科の偏在、地域偏在など地域医療を取り巻く様々な問題が山積しています。また、35歳以下の若手医師の割合も全国平均を大きく下回るなど、次代を担う医療人材の確保も喫緊の課題でもあり、限られた医療人材を適切に活用するうえでも重要であると考えます。

高齢化先進県である本県の取り組みは、今後の国全体の総合診療を考えるうえでも、他地域のメルクマールとなりうるものであります。

へき地の医療体制を将来にわたって安定化させるためにも、総合診療医の育成も含めた医療人材の確保について、県のご認識をお聞かせください。

 

 

【國吉健康福祉部長答弁】

次に、へき地医療を支える総合診療医の育成についてのお尋ねにお答えします。

慢性疾患の増加など、高齢化に伴い医療ニーズがますます多様化する中、県民誰もが生涯を通じて、住み慣れた地域で健康で安心して暮らしていくためには、とりわけ医療資源が限られたへき地においても、複数の疾患を有する高齢者等に対応できる総合診療医の確保・育成が必要です。

このため、まず、総合診療医の確保に向けては、多くの医学生に総合診療医を目指す動機付けとなるよう、今年度から、医師修学資金の貸与の対象に総合診療科を追加し、制度の拡充を図ったところです。

また、へき地医療や総合診療への理解を深め、将来、より多くの医学生や高校生に総合診療医を志していただけるよう、地域医療セミナーや医療現場セミナー等を開催してまいります。

次に、総合診療医の育成に向けては、山口大学医学部附属病院やへき地医療拠点病院等において、総合診療医の専門研修を実施しており、県では、指導医の人件費等を補助するなど、へき地医療を支える人材の育成を支援しています。

こうした取組に加え、今年度、第八次保健医療計画の策定において、市町や、へき地医療拠点病院等で構成する「へき地医療専門調査会」の議論を踏まえ、総合診療医の確保・育成に向けた取組を検討してまいります。

県としましては、今後とも、関係機関や医療機関、市町等と連携・協力し、へき地において将来にわたり良質な医療が提供できるよう、へき地医療を担う総合診療医の育成に、積極的に取り組んでまいります。